Beautiful Moons Ago (Cole-Moore)1943
キング・コール・トリオのバラードで最も好きな唄。 第1次レコーディング・ストライキ (1942.8-1943.10)最中の1943年3月1日、マイナー・レーベルの Excelsior (エクセルシャー)での吹込み。 Decca (デッカ、1940-1941)録音から Capitol (キャピトル、1943-1965)録音の端境期にあたる。
リチャード・ロジャース作曲の『ラヴァー』を想起させるような曲中の小洒落た転調に幻惑させられる。それでいて小難しさは微塵もなく、同トリオの他の傑作バラード(Decca の“This Will Make You Laugh” や Capitol の“Embraceable You” など定型的かつ古典的なコード進行の曲)と同様 intimate な耳触りで夢見心地にしてくれる。
ながらく作詞・作曲者クレジットのない仏Classics 盤 CD で聴いてきたせいで、この文章を書くまで不覚にもオリジナル曲であることを知らなかった。コールとギタリストのオスカー・ムーアの共作だとは。2人の共作といえばインスト曲などはあったが、唄モノは珍しいはず。歌詞と曲のラフ・スケッチをコールが担当し、コード進行・アレンジ・メロディの手直しをムーアが受け持ったと推測するがどうだろう。この曲を特別のものにしているのは、ムーアのモダンなコード感覚を内包しているせいかもしれないと妄想している。
タイトルの Beautiful Moons Ago をどのように訳したらよいか窮するが、ポエジー溢れるフレーズだ。 『月光価千金』Get Out and Get Under The Moon に習って、『月光照千悔』てのはどうだろうか。 ダサダサ? 詩か小説がネタ元ではないかという気もするがわからない。
この曲をカヴァーしているのがギタリストのバーニー・ケッセルやピアニストのベニー・グリーンなど器楽奏者ばかりで、歌ってるのはカーメン・マクレーとジョン・ピザレリぐらいとはもったいない。
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2008年11月27日木曜日
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